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事が済んだ後、服の乱れを整えながら、言いづらそうにゴニョゴニョ何か言っている。
まあ、この事かな?
「…わかってる。オレ達だけの秘密な」
まだ紅潮したままの頬で頷かれ、可愛いな。とか、思っちまってるオレは、どうかしている。
「また、オレと、こういう事してくれねぇか?」
「…ぇ?」
「アンタの事、気に入ったからさ。
勿論、さっきのヤツと別れてくれとか、んな事言って、アンタを困らせたりしねぇから。いいだろ?」
今まで感じた事の無いこの感情に、コイツと過ごしながら、ゆっくりと名前をつければいい。
そう思っていた。
なのに…
紅潮してた頬は、いつの間にか青ざめていて、唇は小刻みに震えていた。
「…オイ?」
どした?
「……んな………ぃ……」
「は?」
よく聞き取れなかったから、近づいて顔を覗きこんだ途端_、
「二度とオレに触んな!出ていけ!」
は?何だ?急に。
さっきまで、オレの下でよがり声あげてたじゃん。
嫌われるような事何かしたか?
その時、何かが目の前に飛んできて、とっさに掴む。
ゆっくりと手のひらを開いて、それを確認すると、
玉入れに使う、紅いお手玉のような玉。
どういう事だ?
飛んできた方を見ると、そいつがカゴの前に立っていて、両手には紅白の玉。
は?まさか、こいつ…!
オレが、それに気づき構えた瞬間、
次々と玉をぶつけてきた。
つか、ぶつかってはいない。
オレが、手のひらで弾き返すのが、気に入らないのか、ムキになってぶつけてくる。
小学生のガキが、大人相手にケンカ売るみたいに。
「やめろ!」
弾き返しながら、宥めるオレ。
それでも続けるそいつに、ちょっとだけイラついたオレは、ほんの少し声がデカくなったのかもしれない。
「わかった!もうお前には、ぜってぇ触んねぇよ!!」
ピタリと止まった攻撃。
ぇ…?何で…? そんな…顔すんの?
肩で息をしながら、呆然と立っているそいつは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「……直ぐに暗くなるから、早く帰れよ」
わからねぇ。
こいつも。 自分も。
オレは、 そいつの顔を見ないように目を伏せながら、外に出た。
ちょっと他人に関わるとコレだ。
また会いたいと思ってしまった自分が恨めしい。
アホか!?
わかったよ!ぜってぇ触んねぇし、話もしねぇ!
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