出発

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夜が明け、目が覚めた。 ヒナは周りの様子を確認した。 気候は晴天。 「あとはネコタク待ちか……」 「それならあちらに……」 いつの間にか起きていたジェニファーの声が聞こえる。 アイル―がニ匹。荷車を引きつつ向かってきていた。 我らに何かあったときの救助隊の到着である。 その荷車には、支給品の携帯食糧などが積んであった。 「いける?」 ジェニファーは口を開かない。 昨晩の不安げな表情は抜けていなかった。 「まだ嫌な予感……してたり?」 ジェニファーは縦に首を振る。 「……トラブルはあるかもしれない。いや。"かも"じゃなくてなにかあるんだと思う」 自信家のヒナがマイナスなことをいう。 珍しい事態に、ジェニファーは少し、キョトンとする。 「けど、それも突破してきたのが私達。違う?」 「そう……でしたね!」 マイナスをプラスに変える。 ヒナの得意技だ。 やっとジェニファーの顔が明るくなった。 (そうそう。そうでなきゃスタートくらいは明るくいかないとね) 「んじゃ」 「ええ。行きましょう」 二人はいよいよ重甲虫に向けて歩き出す。 重甲虫の居場所の位置はだいたいわかっていた。 天空山内で狩猟が許可されているエリアは、キャンプを除き8エリアに分かれていた。 重甲虫がいるのはエリア6と聞き、そこを目指して歩く。 移動されていたとしても、エリア6と隣接している2か5にいるだろう。 こちらを襲いに来る肉食の小型モンスターは蹴散らしつつ エリア5に差し掛かった時だった。 「あれ、アルセルタスですよね」 ジェニファーが上空を指さす。 指さした方を見ると 巨大な角を持った【徹甲虫アルセルタス】が空中で制止しているのが見えた。 こちらに背をむける形であり、まだこちらには気付いていない。 「ジェニファー。ゲネル・セルタスってさ。たしかアルセルタスと連携をとるんだよね?」 「はい。そのはずです」 「なら先にアルセルタスを倒しちゃえば、本命が楽になったり?」 「そうですね。やりましょう」
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