青春

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今日も僕は、プールの底の定位置に居座る。 プールの底で何をやっているか、って? 決まっているじゃないか! 女の子を鑑賞しているんだよ。 素肌をたっぷり露出させて、色取り取りの水着を着た、ナイスボディの女の子達を。 プールの底から見上げている僕を見て、女の子達は軽蔑の目を向けてくる。 偶に彼女達にカッコいい所を見せようと、男達が喧嘩を売ってくるけど、プールが開かれていない時期、筋トレと空手で汗を流す僕の身体を見て、直ぐ退散した。 道場の先輩や同輩に、夏のプールで女の子をナンパし放題だろって言われるけど、小心者で女の子の前に行くと、赤面して話しが出来なくなる僕には無理。 何度か試みたあと、火照った顔を冷やそうとプールの底に潜り上を向いた僕の目に、夏の太陽と共に女の子の素晴らしい肉体が飛び込んで来た。 それからは女の子に話しかけるのを止め、プールの底で女の子の肉体を鑑賞するのが、夏の日の日課になっている。 息継ぎをするため浮上して、プールサイドに掴まり深呼吸している僕の耳に、頭上からクスクスと笑い声が聞こえた。 プールサイドに掴まったまま上を見上げる、プールを囲む塀の上の大きな木がかぶさって日陰になっている所に、女の子が1人座り僕に笑いかけている。
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