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それがいけなかったんだよね…。ものすごくムードが盛り上がっちゃって…。
「…キスさせてくれないか?」
体が固まった。頭も固まった。
「はっ?…えっ?…ええっ!!」
「…大人げないことしてるよ。…情けない。」
「あ、あの…私、私…。」
「…聞かなかったことにしてくれると、ありがたいな。」
心の中で、なぜか、葛藤している私がいた。
《キスぐらいなんということないじゃん、させてやれよ。》
《ファーストキスは、好きな人とって、決まってるじゃない!》
《じゃあ、なにか。思い出の初恋を未消化のままにしとくわけ?》
《私の初恋じゃないし。第一、いつの話?いつまでも、昔々のことに、こだわりすぎ!》
《可哀想なこというなよ、大の男が、こんなに小さくなってんだぜ。キスぐらいいいだろう。慰めてやれよ。》
「ああ!もう!!」
半分やけくそで、長門さんの唇に私の唇を重ねた。
「…ごめんな。…こんな叔父さんに。」
そう言って、長門さんは、一度離れた唇を、改めて重ねてきた。
それは、柔らかで温かで、そしてふわりとした、長い長いキス。私は、腰が砕けそうなくらい惚けていた。初めての大人のキスに…。
「…すまない。…もう二度と、こんなことはしないよ。」
罪悪感と後悔に苛まれた表情で、長門さんは、私の髪を撫でながら、そう言ったの。
そう言われて、なぜだか、涙が止まらなかった…。
何故、涙が零れるのか、私には、わからなかった。
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