64人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、先輩……」
一瞬で自分の一番可愛いだろう顔を作る。
「うん?……あぁ!この間の!」
「はい。西野旭って言います!」
「あさひちゃん、ね。って、もしかしてそれ、チョココロネ?」
あっ。
手にした袋を見下ろした。
本当はこっちのいちごミルクちゃんと一緒に食したいんだけど。
ここはひとまず!
「えっと、先輩、これどうぞ」
「旭、」
隣からアイアイが私の名前を呼んだけど、今はごめん!
コレ逃すと、先輩との接点がないんだもん!
差し出した袋を見下ろした先輩は、私を見るとゆっくり笑顔になった。
「ありがと。あさひちゃん、優しいね。でも俺はいいから。ほら、別なの買ったし!」
にっこり笑った先輩は、見せるように“ふわふわチョコデニッシュ”の袋を持ち上げた。
「あぁ、それはっ!こっちと悩んだ挙句、今日は泣く泣く手放したチョコデニッシュ!」
「旭、お前、無意識のフリして確信犯だったのか」
「あさひちゃんと俺、好みが似てるんだな!」
きらきらさわやかな笑顔。
あぁ、すがすがしい風も漂ってきそう。
いい匂いもしてきた気がする。
手を振って去って行った先輩の後ろ姿にくらくらした。
最初のコメントを投稿しよう!