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「やばぁーい!ヤバいヤバいヤバい!!」
「……頭イカれたのか」
階段をダッシュで上がり屋上に飛び出すと、私はしゃがみこんで頬を覆った。
音無くんの声が近くから聴こえたけどそれどころじゃない。
何あれ、何あれ、
「何アレー!!何アノ、あまぁーい瞬間!!」
自分の頭にまた手を置いて、さっきの感触を思いだした。
「くはっ……も、……ちょっと……いき……出来ないっ」
制服の胸のあたりをぎゅーっと抱きしめるようにしたら、腕の隙間から、ボフッという音がした。
「あ……先輩から貰ったコロネちゃん……」
渦の中らチョコクリームが出て来てしまっている。
そっとそれを取り出して見つめていると、音無くんが階段ホール上から飛び降りてきた。
「見て、コレ」
「……中身飛び出してんな」
「そうじゃなくて」
「…………」
「コレ、先輩から、貰った」
事の顛末を音無くんに話して聞かせた。
というか、話さずには居られなかった。
「あんな風に撫でられたの、初めて」
コロネのはみ出したチョコを落とさないように口に運ぶ。
「このチョコより甘かったよ」
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