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「えー……まじでぇ?」
覇気のない声で返事して、先輩にされた頭撫で撫でとか思いだしてたら、なんだか悲しいのに笑えてきた。
「あーっぶな!もうちょっとで私もその一人になっちゃうところか!あははははっ!」
あーあ。
ホント、マジで笑える。
そんな人だと思わなかった。
っていうか、顔で好きになった私が悪いのか。
すっごい笑えるのに、変だね。
やっぱりまた、涙が出た。
ぐすって鼻をすすったら、目の前に大きい手が現れて涙が拭われた。
「あんな奴、さっさとお前から願い下げろ」
「……うん、」
「隣に居る……俺を見りゃいいじゃねぇか」
「……え?」
音無くんを見上げたら、長い前髪が風になびいて、眼鏡の奥の瞳がじっと私を見ていた。
まだ真上に近い太陽が、音無くんの左耳のピアスに反射して眩しい。
「どういう……」
「俺は……入学してすぐお前が目に入った」
「……え?」
「人を寄せ付けない落合に近づくお前が目に停まって、それから気になるようになった」
「……えっと、」
「誰にでも態度を変えることないお前が、気になって仕方がなくて」
「っ、」
「好きだと思った」
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