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「ちょっとー!聞いといて何その“ふーん”って!せっかく先輩があんなにカッコイイのに!あっ、ほら!先輩、真ん中の人まで投げたよ!!」
ぴゅんと投げられた玉を受けた人が、走ってきた人にタッチした。
「お前……、野球知らなすぎるだろ」
音無くんが呆れたため息を吐いた。
「それは……ごもっともです」
スポーツはとりあえず殆ど圏外。
なーんにも知らない。
あ、でも!
「ドッジボールのルールならわかるよ!」
勢いよく振り返ったら、音無くんは数秒固まってから破顔した。
「ぶはっ!!ドッジって!お前今それ、ぜんっぜん関係ねーだろ!」
声をあげて笑う音無くん。
あれ?
なんか、思ってた印象と違う。
もっと暗いというか、愛想がないはずなんだが。
「教えてやろうか?」
「……え?」
「野球」
「や、きゅう?」
「どうせあの男見るのに毎日来てるだろ。俺が教えてやるよ」
「本当!?」
「嘘言ってどうすんだ」
「お願いします!教えてください!!」
土下座の勢いで頭を下げたら、小さい笑い声が聴こえた。
「じゃあ明日からな。忘れんなよ?西野旭」
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