64人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「でねー!先輩、“大丈夫?ごめんね”って言ってくれたの!」
翌日の放課後、屋上で私は音無くん相手に昨日の話をしていた。
この話は既にアイアイに一日中していて、とうとうアイアイを怒らせてしまった。
「西野。2回も同じ話をするな」
「え?なになに?もう一回聞きたいって?」
「…………」
「うわーっ!ごめんなさい!もうこの話しません!!」
音無くんの睨みが物凄い恐ろしい!!
「……落合もよくもまぁ、何も言わず何度もお前の話聞いてたよな」
落合とはアイアイの事で、彼女の名前は落合愛子という。
苗字のアイと名前のアイが重なるから、アイアイ。
最初にそう呼んだ時もそうだったけど。
「いや、何も言わないなんてことは、ないよ」
「……あ?」
「いい加減にしろってすごーっく怒られたよ」
しかもアイアイ、クラスの男子より男前だから、昨日に引き続き今日も壁ドンされたし。
「アレで男なら付き合ってたんだけどなぁ」
アイアイを思い出していたら、隣から苦笑する声が聴こえた。
「やめとけ。アレと比べたら、よほどの男じゃねぇと勝てねぇだろ」
先輩を見下ろして見つめる。
うん。よほどの男だと、思う。
最初のコメントを投稿しよう!