第1章 僕が出会った5人の女の子たち

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両側の2人は、もう一声掛け合い、僕をゆっくりとベンチに座らせてくれた。 右側の椅子には、先に座っていたダサいリュックがあった。 「ありがとう・・・ございます。ホントすいませんでした」 座ったままで、顔を膝まで付けてお辞儀をした。 ゆっくりと顔を上げる。 僕の前に、ズラーッと5人の女の子が並んで立っていた。 「良くなってきたみたいで、一安心ですね」 僕は、そのかわいい声の方にすぐ視線を向けた。 その声に負けない、めちゃくちゃかわいい女の子だ。 後頭部高めに結わえたポニーテール。 まっすぐに切りそろえてある前髪。 ぱっちり二重でまん丸な瞳。 鼻と口が控えめな大きさだからか、とても印象的な目元だ。 そして、なんて小顔なんだ! アイドルグループに入ったら、即座にセンターに抜擢されるだろう。 そして、偶然にも今、彼女は5人のセンターの位置に立っていた。 「しっかし、そこまでなる前に気付かんかったんか?自分!」 僕から見て、センター女子の右隣りに立っている、例の関西弁の女の子だ。 両手を腰に当てて威張った態度で、僕をあきれたように見降ろしている。 センター女子より少し背が高い彼女は、耳が全部見えるほどのショートカットで、くせ毛っぽくきれいに髪が流れている。 ちょっとだけ茶色いその髪は、染めた訳じゃなくて地毛っぽい。 逆三角形の顔立ちに奥二重で丸い目は人懐っこい印象で、センター女子とはまた違ったかわいさがある。 僕はなぜか、お気に入りのお天気お姉さんを思い出した。 「僕、何か悪いものでも食べたんでしょうか・・・?」 恐る恐る聞いてみる。 自分の中では、さっぱり心当たりがない。 「はぁ?何言うてんねん。ちゃうわ!」 「脱水症状だよ」 センター女子の左隣りの女の子が、すかさず答えてくれた。 あぁ、彼女が僕に的確な診断をしてくれた・・・うわ!背、高っ!!! 思わず僕の顎がググッと急角度に上がる。 細くてとても柔らかそうなサラサラのワンレングスの髪の毛を、両耳に掛けている。 肩に少しかかるくらいの長さだ。 透けるように白い肌、細い眉毛に細い目、鼻も唇もみんな細い。 とても日本的な・・・すごい美人・・・。 「脱水・・・?」 全く予想していなかった病状を聞かされて、言葉が詰まる。
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