第4章 僕の入学式(後編)

3/19
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/669ページ
この学校の制服は・・・ 女子は白いブラウスで、襟が少し丸くカットされたデザイン。 男子は普通の襟の白いカッターシャツだ。 校章入りの金色ボタンが3つ付いた、紺色のシングルブレザー。 左の胸元にはポケットがあり、そこにも校章のワッペンが縫い付けてある。 女子は、紺色をベースに緑と赤の細い線が入った、膝丈のプリーツスカート。 男子も同じ柄で、パンツスタイル。 首元には、同じ生地のリボン(男子はネクタイ)を付けることになっている。 女子はひざ下までの靴下。 校章入りで夏季は白、その他の季節は紺色を履くことになっている。 男子は足首より少し長い丈の靴下だ。 靴はローファーで、色は黒か茶色にするように決められているだけで、学校指定ではない。 以前彼女に会った時は、バスケ部のジャージ姿だったから、制服姿を見るのはもちろん今日が初めてだ。 僕なんかより、ずっとずっと、ずーっと彼女の方が似合っている。 そう伝えたいのに、うまい言葉が自然と僕から出てくる訳もなく 「今日は制服なんですね・・・」 と、馬鹿な質問をしてしまった。 当たり前じゃないか・・・! 今日は入学式で、そのあと在校生たちも合流して始業式があるんだから! そんな、とんちんかんなことを言った僕に、センター女子は 「そうなの。春休み中ずっとバスケ部のジャージを着てたから、今日久しぶりに制服を着たのよ。そしたら、ちょっとウエストがきつくて・・・。困っちゃう。」 困り顔の彼女も超絶かわいい! 「制服が縮んだんじゃないですか?」 「そうかなぁ。そうだといいんだけど・・・」 2人一緒に笑う。 僕に初めて敬語を使わずに話してくれたことが、うれしかった。 あ!そうだ! 僕は、急いで紺色のブレザーの右ポケットに入れていた、小さな紙袋を取り出した。 「あの、これ・・・ハンカチ、ありがとうございました!」 お辞儀をして両手で差し出した。 彼女は、僕と同じようにお辞儀をして両手で受け取ってくれた。 「ありがとう!・・・わぁ!かわいい!」 僕は借りていたハンカチをそのまま返すことに少し抵抗を感じ、それを入れる袋をいろんなお店で探した。
/669ページ

最初のコメントを投稿しよう!