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「もしかして、彼女だとか言うんじゃないよな??」
「そうだったら、今すぐおまえをぶん殴るぞ!」
「なんだよ、あの親しげな態度は?!」
「握手なんかしやがって、こうしてやる!」
そう言いながら、彼は僕の両手を力強く握ってきた。
「あー、唯さんの温もりが~」
「おい、ずるいぞ!俺も!」
「僕も僕も!」
「あの、えっと、ちょっと・・・」
男子たちに次々と手を握られてオドオドする僕。
すると、その様子を見ていた数人の女子たちもやってきた。
「ねーねー、あの人、バスケ部の高瀬唯さんでしょう?」
え?高瀬・・・?
「超かわいい~!超~顔ちっちゃくて、超~目が大きくて~!」
「私、女バス(女子バスケ部)のマネージャーやりたいな~、って思ってるんだ~」
「あ~、いいな~!」
「他の選手の人たちも、超かっこいいもんね~!」
女子たちが、キャーキャー騒ぎ出した。
僕を囲んだみんなから、まだ質問が続く。
「さぁ吐け、なんであんなに仲がいいんだ!『賢ちゃん』なんて呼ばれやがって!」
「くぅ~、うらやましいぜ~!」
「唯さんと同じ中学出身なの?」
「昔からの知り合い?」
「バスケ部なの?賢ちゃんも?」
「い、いや、違うよ。全然・・・」
かなり大げさに両手を振って、全力で否定した。
気付くとクラスのほとんどの子たちに囲まれていた。
センター女子は、こんなに有名で人気者なのか!
ちょっと会話しただけで、こんなに目立ってしまうなんて驚きだ!
そして『高瀬唯』という名前だったんだ!
そういえば、名前も聞いていなかったもんな。
「な~、賢ちゃん、また唯さんと話す時にはさ!俺も混ぜてよ~」
「賢ちゃん!僕も!僕も!」
『賢ちゃん』が、もう浸透し始めた・・・。
僕のことをそう呼ぶのは、母さんや親せきのおばさんくらいだから、なんだかくすぐったい・・・というか、結構恥ずかしい。
あ、僕のことを幼い頃から知っている近所のおばさんたちにも、そう呼ばれてるな・・・。
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