第1章 僕が出会った5人の女の子たち

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「あぁ、いえ、あの・・・」 声を振り絞って何とか答えようとする僕。 起き上がらなくっちゃ! でも、手にも足にも、力が・・・入らない。 まだグルグル回る、目まいの世界から抜け出せないし。 なんだ?本当に僕はどうしちゃったっていうんだ? またギュッと両目を閉じた。 まだ残っていた涙が、両目から勢いよく落ちていった。 あぁ・・・情けないやら恥ずかしいやら・・・。 「なんや、行き倒れかいな?」 違う女の子の声が、僕の右肩の上の方から聞こえた。 関西弁・・・? 僕を支えてくれている女の子の友達だろうか・・・? 「顔、少し赤くなってるね。症状的には吐き気と頭痛かな・・・?座り込んだのは、めまいでもした?」 顔の真正面、かなりの近距離からまた別の女の子の声がして驚いた。 肩を支えてくれている女の子と同じく、座って僕の様子を見てくれているらしい。 しかも、一瞬で僕の症状を的確に診断してくれた。 「典型的やな。おーい、ちょっと!そこの自販機でスポーツドリンク買うてきたって~!」 関西弁の子が誰かに指示した。 「おごりやないで、兄ちゃん。ちゃんと後で払ってや!」 はい、という代わりに、頭をコクリと下げた。 「ベンチに座らせてあげた方がいい?」 かわいい声の主が心配そうに言った。 「いや、下手に動かして倒れられても困るし、今はこのままで様子を見た方がいいよ」 そう答えながら、彼女は弱々しく力の入らない僕の左手をそっと持ち上げて、落としたメガネを手のひらに置いてくれた。 「レンズ割れてないし、フレームも・・・大丈夫そうだよ」 彼女の両手がメガネと僕の手を一緒に包み込む。 「あ、りがとうございます」 顔がポーッと赤くなったのを気付かれないように、お礼を言いながら折り曲げている両ひざの間に顔をうずめた。 パタパタパタと急いで駆け寄ってくる、二人分の足音が聞こえた。 「そこの自販機じゃ売り切れててさ~。もう一つ向こうの方まで行って買ってきたよ~」 「3本買ってきたけど、足りるかしら?」 少し息を荒げながら、関西弁の女の子に聞いたようだった。 語尾を伸ばす独特な口調の女の子と、少しハスキーな声の女の子。 どうやら僕は今、少なくとも5人の女の子に囲まれているらしい。 なんか、急に緊張してきた・・・。
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