Doors

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物語の舞台は、その時代のその小さな内陸国_シュラムゴール。 領地を廻る隣接国との戦争が勃発したことにより、兵士となり得る国民の絶対数が少ないシュラムゴールは、戦線に置いて圧倒的苦戦を強いられていた。 __しかしそれは、十年前までのこと。 兵隊の「数」で劣るシュラムゴールは、一人ひとりの兵士に「質」を求めることで、戦況の打開を試みた。 軍部政府が着手したのは、「殺戮専用高次機能アンドロイド兵器-GOV」の開発。 そして今から5年前、「第01号機」~「第03号機」が完成され、武力戦線に導入された。 結果は_あまりに圧倒的。 当に、「一騎当千」としか言いようの無いものだった。 ウェイサー・グッドモーニン少佐「_これより、敵国捕虜をターゲットとしたGOVによる殺戮予行訓練を行う」 ウェイサー・グッドモーニン少佐「模範機として39号、前へ…!!」 39号機「(ザッ!)」 敵国の捕虜「ヒ…ッ!」 命令を受け、軍列から一歩前へ出たのは、真っ白な毛色の、少女の姿をしたアンドロイド。 透き通るまつ毛から覗く薄く開かれた瞳は、目の前の標的を真っ直ぐに捉えていた。 小型ナイフを片手に後ずさりする捕虜。武器を持つ手は異常なまでに震え、額には大量の冷や汗が滲み出ている。 一歩、また一歩と距離を縮めてくる圧倒的な敵の脅威…。 敵国の捕虜「うっ…うわああああああ!!!!!誰かっ、誰か助けてくれ…!!!(ダッ)」 彼は恐怖のあまり背を向け、敵前逃亡した。 まともに戦ったところで、勝敗などわかりきっているのだ。 敵にとって自分は、肉食動物に与えられる「餌」のようなものでしかないのだと、彼は知っていた。 39号機「…」 その場に屈み込み、クラウチングスタートのような体制を取る39号。 彼女の穿いているブーツの側面の模様が、高出力エネルギーを帯びているかのように光りだした。 _0,1秒後、彼女はその場から姿を消し、辺りに土埃が舞う。 敵国の捕虜「はぁ…っ!はぁ…っ!助けて…、助けて…!」 「(シュウゥウウイイイイイイイイイイイイイイン)」 敵国の捕虜「……?」 背後から急速に近づいてくる音に、思わず彼は振り返る。 その刹那、彼は首筋に何かを押し当てられている感触を感じた。 敵国の捕虜「へ…?」 __次の瞬間。 「ボゥッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」 …彼の首側面から、大きな風穴が空いた。 39号の右手首から放たれたエネルギー砲が、獲物を仕留めたのだ。
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