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「菜々子、その髪うっとうしくない?」
「え?」
「そんな背中の真ん中まで伸ばしてさ。この時期イヤになんない?」
真奈美が言うと、友香も頷いて聞いてくる。
「ほんとほんと。いっそショートにしてみるとか?」
「えっ、やだよ!」
私はそう言って、汗でしっとりとした長い黒髪をぎゅっと握った。
そんな私を見て、二人はケラケラ笑う。
「そんなマジに返さなくても!じゃあ、うちら行くね。バイバイ、菜々子」
「うん、またね!」
私は、友香と真奈美に手を振ると、家に向かって再び歩き出す。
友香達は、これからクラスメートの男子達とカラオケに行くらしい。私も誘われたけど、断った。何だかんだ言って、二人ともタフだと思う。
「ただいま」
家に着いて、玄関のドアを開けた。
「お帰り」
リビングの方から声がして、弟の勇太が、こっちにやってくる。
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