排水口

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駅前にある予備校へは、自転車で行く。 日が落ちてきたのと、自転車を走らせてることで、学校帰りよりは暑さはマシになっていた。 15分くらい自転車を走らせて、通ってる予備校に着く。ちょうど、ぞろぞろと予備校生達が教室へと入っていく中、私も自分の教室に入った。 「本田さん」 名前を呼ばれ振り返ると、長身の瀬戸君が微笑んでいる。 「瀬戸君」 私はドキドキしながら言った。 瀬戸君は端正な顔立ちに加えて成績もトップクラスで、密かに憧れの人だ。 「今日の古典って、テストあるよね?勉強してきた?」 私が聞くと、瀬戸君は苦笑する。 「暑くて、勉強する気が起きなくて。あんまりやってないよ」 「私も」 私がそう答えると、不意に瀬戸君の手が、私の方へ伸びてきた。 (えっ……?) 胸の鼓動が一気に激しくなる。
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