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これは、
1時間前の話だ。
ともあれ、
今は目の前に立っている男の子、
この子と同じクラスだなんて…。
彼は、
先生に指示されたところを読み始めた。
「帰り入りて探り給へば、
女君はさながら臥して、
右近はかたはらにうつ伏し臥したり…」
この国の古い言葉のようで、
わたしには、
まだよくわからない。
でも、
音の美しさは感じられる。
向こうにいたときの、
葉のせせらぎ、
枝の織りなし、
幹の吹く笛の音に似ている。
そんな思がかすめるなか、
顔に浮かぶ影が気になっていた。
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