第1章 ばれちゃった。

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 止まっている鉄の棒、 空中にとどまるガラスの破片。  呆然としている友人になれるとよかった人たち。 少し悲鳴も聞こえたかな?  彼は、 驚きに目を見開き、口を開け、 ひきつった頬のまま鉄の棒を直視し、 ついでわたしに目を向けた。  怖い顔のわたし、 以前母のその顔を見たことがある。  目を細め、 眉間にしわを寄せ、 対象をにらむ。  左利きだった母は、 左手を上げ、 対象に向けていた。  何かをつかむような形をして、 指をそれに向ける。  むかし楡の枝を持って、 枝でそうしていたからだそうだ。  美しく、優しい母の顔がこれほど怖かったことはない。 その真剣なまなざしは何かを射るようなものだった。
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