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ある年の事。とある音大に、まだ回りに知られてはいないけれど、それは美しい声を持つ女の子が入ってきました。
しかし、彼女は音大だというのに、図書館に入り浸って、専門である歌はあまり歌いませんでした。決して歌が嫌いなわけではないのですが、彼女は本に夢中でした。
本ばかり読んで、見た目が外国人という事もあり、話しかけられる事はなく、大学には友達と呼べる人は、ほぼいませんでした。
今日も彼女は一人、昼休みの時間、使われていない空き部屋で本を読んでいました。自然と鼻歌を歌いがら・・・。
離れの三階にあるその部屋の窓は開いていて、少し日焼けしたカーテンが風に靡いていました。
丁度その頃。その近くに、留学生兼、講師として外国から来ていた三人の青年がいました。
彼らはそれぞれ声楽、ピアノ、弦楽器の指導を任されていました。
初日の今日は、講義は特になく、大学内の施設を三人で見て回っていたのでした。
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