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三人の中で一番背の高いフランス人の青年は空を見ながら言いました。
「日本の春かー、いいね。」
ピアノを担当するイタリア人の青年は頷きながらもう一言。
「そうだねぇ、日本の女性は何とも可愛らしいし。思ったより素晴らしいじゃないか。」
そこへいつもニコニコ顔のスイス人の青年が。
「来る前は、あんなにぼやいていた癖に。」
イタリア人青年は困ったように笑って応えました。
「あれはだね、日本があまりに遠いから....、」
すると突然三人はピタッと歩みを止めました。微かに歌声が聞こえたからです。
・・・・・・。
「・・・聞こえるかい?」
フランス人の青年の声に頷く他の二人。
「これは、チャイコフスキーか。」
「いい声だな。」
「どこからだろう?」
三人は静かに耳を澄ませて、その声のする方に向かいました。
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