第1章

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 無念にも遅刻ギリギリになってしまった失態が、同じマンションに住む幼馴染の情報網で、早々に親にばれていた。 ちくったな、と行儀悪く箸を噛みそうになると、父がそれを止めなさいと指摘する。 「道がわからないなら、前もってそう言いなさい。ったく、方向音痴は母さんにそっくりだな」 「ばかだねー、おねっちゃん!」  家族3人で囲むその食卓には、2人の入学を祝う豪勢な料理が並んでいるのに、菜子を責め立てる言葉が投げられて、ついつい咀嚼が雑になる。とはいっても、非難ごうごうというわけではないが。
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