第1章

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 小学校一年生になった、少し歳の離れた弟の楓も、偶然にも同じ日に入学式も迎えていた。 父は初めての入学式を祝うべく、弟の小学校に向かったのだけれど、大人になったから大丈夫だろうという信頼は、情けなくもしっぺ返しをしてしまった。  知らぬところで親に告げ口をした未蔓に不服を抱いたが、気を利かせて教えてくれたんだぞ、という顔が、未蔓を怒ってやるなと言っている。 「自転車じゃないんだから、待ち合わせて一緒に行ってもらえばいいだろう」  そんな言葉を目聡く聞いた弟が、わざわざ下の階に住む未蔓に早々に伝えていて、その姿はまるで舎弟のようだ。2
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