第1章

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20歳を超えてお酒を飲めるようになってからは、少しだけ会うこともあるけれど、どうにも社会人と学生という立場から、生活リズムが異なってしまっていた。  先輩が夏季休業こそあれど、3日間しかないその休暇に文句を言うために居酒屋に連れ出されたレオは、あまりお酒に強くない。 べろんべろんに酔っぱらって千鳥足という経験こそないが、記憶が微かにしか残っていないことはよくある。 今日もまずはビールで乾杯。たばこの煙を美味しそうにはく先輩の紫煙が、顔にかかる。 「それで菜っ子がさ~…」  ああ、もう、幻聴が聞こえてしまうほどに恋い焦がれてしまっているのか。先輩が用を足すのを、じっとひとりで待っていると、なんだか頭の中で菜子が笑っているみたいだ。
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