第1章

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階下の部屋に住む、未蔓、もとい一之瀬家とはよく行き来していて、弟の楓も一緒によく遊んだものだ。 そのおかげで、弟にとっては身近なお兄さん的存在で、未蔓と一緒にリビングでゲームに勤しんでいることがよくある。おまけにゲームやアニメの嗜好品が好きな未蔓は、小学生には難しいゲームを簡単にクリアしてしまう。 楓に羨望の眼差しを向けられ、未蔓もまんざらではなさそうだ。そんな未蔓とは、気づけば一緒に夕食を食べていることもしばしば。 高校に行ったら、それもいい加減卒業しようと思っていたはずなのに、どうにも思い通りにはならないらしい。 「朝、下に集合」  寝る間際に携帯を揺らしたその連絡は、一緒の通学を約束するものだった。 「わかってるよ……、そんな口酸っぱく言わなくても」
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