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困ったような呆れ顔。久しぶりに見る、菜子の顔。画面なんかじゃなくて、この腕の中で体温を感じたいのに。
『Naco! Come here!』
『Just a moment. I’m coming soon!』
ぽろぽろと伝う涙は、画面でもかくせないほどに溢れていた。ぎょっとする友人たちの反応なんて、気に留めることもできないくらいに。菜子を見たら、何も考えられなくなっていた。
当たり前のように英語を話す菜子。知らない外国人の男性。親し気に、微笑み返す、甘い顔。
「そいつ、だ、誰……」
そこの区画だけが、ざわざわと騒がしい場所から切り離されたみたいに静まり返っていた。溢れた涙で菜子の姿が歪んでいる。
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