第1章

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『? 家主だよ、ここの』  ずず、っと鼻をすすって、言葉にならない声だけが、響いていた。 結婚とか、してるのか、とか。国際結婚っていうやつか、とか。 絶望。目の前が歪みに歪んで、嗚咽しか出て来ない。 『レオ? なんで泣いてるの?』  その言葉には、何も出て来なかった。頭が真っ白になって、言葉の欠片も存在していなかったから。 何も話さないレオの代わりに、リオが楽し気に話している。いつこっちに帰ってくるのか、なんて、そんなこと。
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