第1章

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   近頃、菖蒲はバイトを始めたと言っていた。 ちょっといい感じの喫茶店で雇ってもらえたと、意気揚々としていたのを覚えている。 レオに話をした覚えなどないのだが、そこは恋心故の耳年増。さすがの情報網といったところだろうか。  菜子とレオが二人で訪れた喫茶店は、まさに感じのいい喫茶店。 一つケチをつけるとすれば、どちらかというと、束の間の穏やかな時間を過ごすための落ち着いた空間に、高校生の学生は似合わないというところだ。 「……ご注文はお決まりですか」
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