第1章

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「……うるさくするなら帰ってよね」  静かに怒りの雷を落とす菖蒲を見て、「お前のせいで怒られただろ」と頬をふくらませていた。  小さな口喧嘩のおかげというべきか、ちょうどよく小腹が減っていた。 菜子の注文したベジタブルケーキの綺麗な切り口と、レオの注文した真っ白な生クリームと艶やかなカスタードクリームのケーキがテーブルの上を彩る。 「すごい綺麗じゃない? これ!」  ケーキの精巧さを見て、感動のあまり喧嘩をしたことなど微塵も感じさせず、向かい合って座る二人は目を輝かせて視線を交わす。気まずさの欠片もなく、ぺろりとケーキを食べ尽くした。  会計時の呆れた菖蒲の顔はそれでも綺麗な顔をしていて、最後までレオは上機嫌だった。
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