第1章

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 在校生の座るゴツゴツした教室の椅子と違って、僅かに沈む柔らかい椅子が門出を祝う。 新入生代表の挨拶をしている体育館の壇上に立つ生徒の柔らかい声が心地良くて、ついうとうとしてしまう。 回りの生徒が礼をするのにならって、慌てて礼をした。 代表の挨拶をした男子生徒が席につくのを目で追いかけると、手をヒラヒラさせる生徒が視線に入ってきて、思わずにっと笑みを向けた。 「知り合い?」 「幼馴染なの」  手を振ったその男子生徒の名、一之瀬未蔓(いちのせ みつる)。
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