第1章

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同じマンションに住んでいて、幼い頃から家族ぐるみで付き合いのある友人だ。 嫌がっていたメガネも、いつの間にかかけるようになって、体育館の照明でキラリとレンズが光っていた。そんなサラリと笑う未蔓を見て、こんなことなら一緒に来てもらえばよかったな、と後悔が募る。 「菜子、遅刻したんだって?」  小馬鹿にした様子で、下駄箱にもたれかかる未蔓。 「ぎりぎりしてないから」  じろりとその幼馴染を睨みつけると、 「だから一緒に行こうって言ったのに」 という言葉をかき消すように、音をたててローファーを床に落とした。
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