第1章

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 なんとなく、未蔓と一緒に行くのは気が引けた。幼馴染というだけで、あまりにも寄りかかりすぎている気がして。 誰に言われたわけでもないけれど、一人で大丈夫だと、自分自身を納得させたかった。 安易な考えかもしれないが、まずは一人で為せることが、一人で通学することだったのだ。  同じくする帰路は、2人を自然と同じように歩み進めて、いつの間にか一緒に電車に乗っていた。ん、と顎で空いている席に誘導され、気づけば世間話なんかをしてしまっていた。  未蔓は7組になったらしい。 新入生代表の挨拶を努めた秀才がいて、今から「宿題見せてもらえる」と、顔を綻ばせていた。 1組と7組は端っこ同士のクラスで、下駄箱の位置も遠ければ、教室まで行く階段も違うところに位置しているらしい。無論、好んで遠回りをしたら意味をなさないけれど。
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