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「あ、もしかしてさっきの電話の人?
よく見つけたね」
画面に映し出されていた写真の男が、
横たわる美幸の傍らに立っていた。
「美幸から離れろ」
修司は右手に握った果物ナイフを振りかざし男を威嚇する。
だが男はその何倍もの大きさのナタを修司に向ける。
真っ赤な液体が刃を伝い、滴り落ちていた。
「これそこの家に落ちてた。
なんか錆びてて切れ味悪いんだよね、
君のそれと変えてくんない?」
口元の緩んだ男に対し、修司は覚悟を決めた。
ナイフの柄を握る手に力を込め、
脚を踏み出そうとした時、美幸が体を起こした。
「……お兄ちゃん」
美幸が生きているのを確認し、
修司は僅かに冷静さを取り戻す。
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