recycle1~八幡修司~

10/29
前へ
/171ページ
次へ
「あ、もしかしてさっきの電話の人? よく見つけたね」 画面に映し出されていた写真の男が、 横たわる美幸の傍らに立っていた。 「美幸から離れろ」 修司は右手に握った果物ナイフを振りかざし男を威嚇する。 だが男はその何倍もの大きさのナタを修司に向ける。 真っ赤な液体が刃を伝い、滴り落ちていた。 「これそこの家に落ちてた。 なんか錆びてて切れ味悪いんだよね、 君のそれと変えてくんない?」 口元の緩んだ男に対し、修司は覚悟を決めた。 ナイフの柄を握る手に力を込め、 脚を踏み出そうとした時、美幸が体を起こした。 「……お兄ちゃん」 美幸が生きているのを確認し、 修司は僅かに冷静さを取り戻す。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加