recycle1~八幡修司~

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「あらあら、私の走れの思いの方が強かったのか。 意識の強さは死に直面してこそ、強大になると思ったんだが。 おばさん死にたくないって思い、弱すぎ」 残った三人の横を通り過ぎた車は、 佳苗の血に染まりながら実験場をぐるりと回り 人資源を前に再度止まった。 「今度は三人へ同時に突っ込むことにしよう。 さて誰の意識が一番強いか。実験スタート」 石脇の合図で車は三人に向けて走り始める。 「来ないでくれ。来ないでくれよ。 俺はまだ死にたくないんだよ。 何でだ、何で俺がこんな目に合わなきゃいけないんだ……」 隣で佳苗のはねられる姿を見た岸田健斗は既に涙を流し訴え続けていた。 「そんなの簡単だろ。 人間として生きる価値の無いゴミだと判断されたからだ。 罪を犯したゴミは人間様の為にその命を使って初めて資源になるんだよ。 だからゴミはゴミらしく大人しく死ねよ」
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