recycle1~八幡修司~

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石脇は呆れ顔でその場に腰を下ろした。 速度を上げる車は真っ直ぐ真ん中の草加大吾を目指し突っ込んでいく。 「おい……やめてくれよ。死にたくないんだ」 薄くなった頭皮に汗をかきながら、 大吾もまた必死に訴えた。 「里子、遥……お父さん絶対帰るからな……」 そう言うと大吾は目を閉じる。 だが大吾の目前まで来ていた車は 突然ハンドルが切られ、岸田健斗の体を正面に捉えた。 「嘘だろ……なんでだよ。来るんじゃ……」 何かが潰れる音と共に健斗の体は跳ね飛ばされ、 飛び散った血しぶきが残った二人の顔を濡らした。
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