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その光景を見て石脇が頭を抱える。
「ダメだろ。
必要なのは強い意識なんだよ。
全員で『来るな』と思ったら
より弱い意識のゴミに突っ込むことになる。
それじゃあ実験の意味がないだろうが。
頼むから世の中の為に働いてくれよ。
さあ残りの二人、張り切って死のうか」
「無理に決まってるだろ、そんなの……」
石脇に向け修司が声を荒げる。
「こんな状況で来るなと願うのは当たり前だ。
こんな実験、元から意味なんてないだろうが」
すると石脇は口元に笑みを浮かべた。
「そうかいそうかい。
だったら少し身の上話でもするか?
君みたいに熱いゴミは情に流されやすいからな。
隣のおっさんは嫁さんと子どもの為に罪を犯したが、
結局今は犯罪者の身内ってことで
その二人は苦しんでいる。
もしこの実験が成功した時は、
会社への貢献度次第では、
労働力として雇用してくれる可能性もあるんだよ。
生きて資源として活用されれば、それまでの罪は帳消し、
晴れて二人の元へ帰ることが出来る。
どうだい?おっさんを生かしたいと思わないか?」
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