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都心から少し離れた自然豊かな町に住む
前田玲奈(れいな)は、風になびく長い髪をまとめながら走っていた。
「遅刻決定」
数分前までは学生服姿の子ども達で溢れかえっていたであろう大通りの交差点も、
今は玲奈の姿しかない。
「はやく、はやく」
玲奈は横断歩道の前で
信号機が青色に変わるのを
今か今かと待っていた。
ふと目を横にやると、同じく信号を待っている車が目に入る。
車に無関心な玲奈でさえ、
一目で高級車だと分かるほどの
大きさと重厚感に一時の間目を奪われてしまった。
すると後部座席の窓がゆっくりと下がる。
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