12人が本棚に入れています
本棚に追加
開いた新聞を軽く流し読みすると、
修二はそれを雑に折りたたみテーブルに置いた。
そしてその隣に置いてある、
リモコンに手を伸ばすと、テレビの電源を入れた。
部屋に対し、少々大き目なテレビの画面に一人の男性が映し出される。
『昨日の人資源利用数は三十四であり、
本日は二十三人の利用を予定しております。
これから、本日利用分の人資源の名前を読み上げていきます』
そう言うと画面の中の男は次々に名前を読み上げていった。
「ねえ修司。
人資源になった犯罪者はもう人として扱われないんでしょ?
だったらどうしてこうやって毎日名前を読み上げるの?」
いつの間にか修司の隣に座り、テレビを見ていた母親が
視線を画面に向けたまま修司に疑問を投げかけた。
それに対し修司は呆れた顔で返す。
「人資源になった人は、再利用が完了して初めて資源として扱われるんだよ。
だからそれまではまだ人間ってこと。
あえて名前を読み上げるのは、
今日この人たちは資源として世界の為に使われますよって、
国民に積極的な再利用を印象付けたいんじゃないかな。
まあこの放送を見ている人のほとんどは、
人資源になった犯罪者の被害者やその遺族だって話だけどね」
「へえそうなんだ。
あんた何でも知ってるわね。」
その言葉に修司は小さくため息をつく。
最初のコメントを投稿しよう!