recycle1~八幡修司~

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開いた新聞を軽く流し読みすると、 修二はそれを雑に折りたたみテーブルに置いた。 そしてその隣に置いてある、 リモコンに手を伸ばすと、テレビの電源を入れた。 部屋に対し、少々大き目なテレビの画面に一人の男性が映し出される。 『昨日の人資源利用数は三十四であり、 本日は二十三人の利用を予定しております。 これから、本日利用分の人資源の名前を読み上げていきます』 そう言うと画面の中の男は次々に名前を読み上げていった。 「ねえ修司。 人資源になった犯罪者はもう人として扱われないんでしょ? だったらどうしてこうやって毎日名前を読み上げるの?」 いつの間にか修司の隣に座り、テレビを見ていた母親が 視線を画面に向けたまま修司に疑問を投げかけた。 それに対し修司は呆れた顔で返す。 「人資源になった人は、再利用が完了して初めて資源として扱われるんだよ。 だからそれまではまだ人間ってこと。 あえて名前を読み上げるのは、 今日この人たちは資源として世界の為に使われますよって、 国民に積極的な再利用を印象付けたいんじゃないかな。 まあこの放送を見ている人のほとんどは、 人資源になった犯罪者の被害者やその遺族だって話だけどね」 「へえそうなんだ。 あんた何でも知ってるわね。」 その言葉に修司は小さくため息をつく。
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