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「幸司郎君、なに話してたの?」
「うん、なんか玲奈が最近元気ないみたいだから
何か悩んでるかもって。
話し聞いてやってってさ」
「そ、そんなことないよ?」
「いや、実は俺も前々から思ってたんだ。
たまに無理して笑顔を作ってるなって。
でも玲奈から言ってくれるまで待ってようと思ってたんだけど、
やっぱり心配だからさ、話してくれないかな。
俺じゃ頼りないかもしれないけど」
胸の奥が締め付けられる気がした。
一瞬うつむいてぎゅっと目を瞑ると、
出来る限りの明るい顔で玲奈は話しはじめた。
「最近ね、変な電話が沢山掛かってくるの。
最初はただのイタズラだろうって気にしてなかったんだけど、
ここ何日かはその量も増えてきて。
でもその内飽きて無くなるかなって思って今まで内緒にしてた。
それにもし幸司郎君に話して迷惑かけたら嫌だから。
ごめんね、ずっと黙ってて」
幸司郎はその話を玲奈の目を見つめながら、
顔色を変えず、静かに聞いていた。
話し終えた玲奈の頬を包み込むように右手を伸ばす。
「ありがとう。話してくれて。
大丈夫だよ、玲奈にならいくらでもかけられていいんだ、
迷惑だなんて思わないよ」
「ありがとう……ごめんね」
玲奈は笑顔のまま一粒の涙を溢した。
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