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放課後の出来事を思い出し、少しにやつきながら
玲奈は、お風呂上りで濡れた髪を乾かしていた。
ドライヤーの風を弱めた時、携帯電話が鳴っていることに気付く。
画面に表示されていたのは【非通知】の文字。
玲奈は驚き、持っていたドライヤーを床へ落としてしまう。
鈍い音が部屋に響いた。
突然の大きな物音に母親が階段を駆け上がってくる。
「どうしたの玲奈」
「ううん。なんでもないよ」
ドアの向こうで心配する母親の声に玲奈は明るく答えた。
いつのまにか鳴り止んでいた携帯電話を手に取ると、
すぐに電源を切った。
乱れた呼吸を戻そうと深呼吸をし、
ようやく落ち着いてきた頃、
こんこんと部屋のドアを打つ音が聞こえてきた。
「玲奈、幸司郎君から電話よ」
ドアを開けた母親の手には固定電話の子機が握られていた。
「あ、ありがとう」
それを受け取ると、微かに残った動揺の色を悟られまいと
玲奈はすぐにドアを閉めた。
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