recycle2~前田玲奈~

13/27
前へ
/171ページ
次へ
3 放課後の出来事を思い出し、少しにやつきながら 玲奈は、お風呂上りで濡れた髪を乾かしていた。 ドライヤーの風を弱めた時、携帯電話が鳴っていることに気付く。 画面に表示されていたのは【非通知】の文字。 玲奈は驚き、持っていたドライヤーを床へ落としてしまう。 鈍い音が部屋に響いた。 突然の大きな物音に母親が階段を駆け上がってくる。 「どうしたの玲奈」 「ううん。なんでもないよ」 ドアの向こうで心配する母親の声に玲奈は明るく答えた。 いつのまにか鳴り止んでいた携帯電話を手に取ると、 すぐに電源を切った。 乱れた呼吸を戻そうと深呼吸をし、 ようやく落ち着いてきた頃、 こんこんと部屋のドアを打つ音が聞こえてきた。 「玲奈、幸司郎君から電話よ」 ドアを開けた母親の手には固定電話の子機が握られていた。 「あ、ありがとう」 それを受け取ると、微かに残った動揺の色を悟られまいと 玲奈はすぐにドアを閉めた。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加