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「はあ……」
玲奈は大きなため息をつくと、
体を投げ出すようにベッドに横になった。
低反発のマットがゆっくりと玲奈の体を押し返す。
右手に握った携帯電話は相変わらず暗い画面のままで、
電源を付けるかどうかを悩んでいた。
「幸司郎君がまた心配するかもしれないしなあ。
でも怖いな……」
迷っていた玲奈の頭にふと翔の顔がよぎる。
幼い頃から何かあるといつも助けてくれていた、頼れる兄のような存在。
頭もよく常に前向きな翔なら何とかしてくれるのではないか。
玲奈はおもむろに携帯電話の電源を入れた。
非通知の着信履歴を消すと、
翔へと電話をかける。
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