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4
朝日が差すよりも早く玲奈は目を覚ました。
カーテンを開け、窓に映った自らの目を強く見つめる。
――今日で終わりにするんだ
よしっと小さく拳を握り玲奈は身支度を始めた。
心美との待ち合わせの時間は決まって九時だ。
これは始発のバスが公園に着く時間で、
移動手段の乏しい玲奈に心美が合わせていた。
だが今日はその前に翔と会うことになっている。
丁度朝日が顔を出し始めたころ、玲奈は玄関の扉を力強く開けた。
「玲奈ちゃんおはよう」
玄関前には真っ黒な高級車を前にコート姿の翔が立っていた。
「おはよう、翔兄」
「とりあえず、話は中で。乗ってよ」
そう言うと翔は後部座席の扉を開け、中へ入るよう促した。
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