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時間の流れが遅くなり、ゆっくりと翔の腕が上がっていく。
精一杯の力でスタンガンを握りしめ、青白い光を視界の端に捉えながら、玲奈は勢いよく振り返り、その手を精一杯伸ばした。
鈍い感触が腕から脳に伝わる。
相手の顔を視認する間も無いまま、唸り声と共に人影はその場に崩れ落ちた。
大きく何度も息を吐きながら、倒れた相手の顔を確認した。
「……え……?」
そこにはひきつけを起こした幼児の様に、白目をむき小刻みに震える心美の姿があった。
「……どういうこと……」
次第に弱くなる呼吸と鼓動を感じながら、心美を抱きかかえた腕に力を入れる。
「どうして……何がどうなっているの」
「君が殺した」
背後から聞こえてきた冷たい声。
振り返り、涙を浮かべた目でその相手をにらみ上げる。
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