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「修司、美幸に電話して
すぐに帰ってくるように言いなさい」
母親の顔からは血の気が引いていた。
修司は急いで携帯電話を取り出し、
美幸の携帯へと発信する。
数回のコールの後、美幸が電話口に出た。
「もしもし、美幸か。
今すぐに家に帰ってこい」
しかし電話の向こうから美幸の声は聞こえてこない。
「美幸。返事をしろ」
『……はいはい、美幸でございます』
その声は野太く、明らかに美幸の声ではなかった。
「お前誰だよ。美幸になにをした」
『何をした?いやいや、まだ何もしてないから。
これからこれから』
男は修司をからかうように笑ってみせた。
「なんで美幸の携帯持ってるんだよ。
どこにいる、美幸は無事なんだろうな。
美幸に何かしてみろ、お前殺すぞ」
『殺してほしいね。どうせ死ぬんだし。
それよりさ、俺この辺の土地勘無くてよ、
ここどこだろうな、面倒くさいから探してみなよ』
そう言うと男は電話を切った。
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