recycle1~八幡修司~

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「美幸。どこにいるんだ、美幸」 西公園を取り囲むように植えられた、 ユキヤナギの白い花が風に揺れている。 街からは少し離れた場所にあり、人の気配は全くなかった。 鳥の声と風の音が修司の声と混ざり合う。 それでも修司は叫び続けながら、 辺りを探した。 しかし美幸からの返事はない。 修司は公園の奥に設置された公衆便所へと向かった。 「……美幸?」 公衆便所の周りに咲く、ユキヤナギの花が所々紅く染まっている。 「おい、美幸返事をしてくれ」 修司の頭の中は最悪の状況で埋め尽くされていた。 恐る恐る公衆便所の中へと足を進める。
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