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女性に連れられ、着いたところは石造りの家だった。中世のヨーロッパのような家だった。そしてデカイ。かなりデカイ。
「さて、じゃあ座って。」
女性は椅子に座り、隣にある椅子を手でポンポンと叩きながら言った。
「えっと…そういえば、名前知らなかったね。貴方の名前は?あ、私はティナ・ロード。ティナって呼んでね。」
そう言ってティナと名乗った女性は自分の胸に手を当て言った。
「…俺は裕太。高田裕太。…もう、本当に大丈夫ですから。」
少年、改め裕太はそう言い、席を立とうとした。
「待って!待ってよ!貴方、心の乱れのせいで魔力が乱れてる!このままじゃ、貴方危ないよ!」
「は?魔力?何言ってんの?本当にそういうのいいから。いや、今少し落ち着きたいからさ、そういう痛い発言やめてくれない?名前自体も痛いし、なんのキャラのコスプレか知らないし、厨二病も別にどうでもいいけど、俺にまで危害加えないでくれない?」
確かに裕太の言ってることは現代の地球では最もなこと。だが、こう言いながらも、裕太はどこかでここは異世界という事を認めていたので、本気で言ってるわけではなかった。
「痛い?キャラ?厨二、病?コス…コスプ、レ?それが何か知らないけど、とにかく、貴方は今危ないの!下手したら貴方の体が魔力で爆発するわよ!」
「いや、そんなの科学的に無理でしょ。非科学的な事言わないでよ。俺そういうの嫌いなんだよね。なんかの物質が爆発でもするの?それとも何?僕の体には他の人間とは違う物質でもあるっていうの?…って何すんだよ!」
裕太が長々と話している時にティナは立ち上がり、裕太に近づき、裕太の胸に手を当て始めた。
「動かないで。今魔力の流れを正しているから。」
胸を見ると、手を当てている場所が光っていた。
「うわ、なんだよこれ!」
ティナは怪訝そうな顔をして聞いた。
「貴方、さっきからよくわからないこと言ったりしてるし、子供でもわかる常識も知らないけど、本当にどうしたの?はい。終わったよ。」
ティナが手を離したとき、裕太は体の中に何か温かいものが血液中を循環しているような感覚を覚えた。
「はぁ、本当に異世界なんだな……」
裕太はどこか諦めたような顔をし、ティナは意味がわからないといったような顔をしていた。
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