第1章 日常から非日常へ

6/13
前へ
/13ページ
次へ
「頭おかしいってなによ!もう…本気なのに~。…まぁ、これからよろしくね。」 ティナはとても綺麗な笑顔で言い、手を差し出した。 裕太はまだ100%信用している訳ではないとティナも理解している。だが、それは少しずつ信用させておけばいいと思っている。それより、ティナは裕太に手を握って欲しいと願っていた。そうすれば、少なくともこれから信用してもらうのに大丈夫と思えるから。 裕太は一瞬戸惑ったが、すぐに差し出された手を握り返した。 「あぁ。これからよろしく。ティナ。」 そして裕太もティナの笑顔に返すように微笑んだ。 「うん!…そういえば、君…裕太って何歳なの?」 君と言ったが、これから一緒に住むのにそれは他人行儀過ぎると思ったので、名前で呼んだ。 「んと、今年で15歳。君は?」 「ティナ!」 「え…と、ティ…ナ?」 「うん!」 ティナは笑顔で頷いた。 「私は16歳。だから裕太の1つ上。うーん、なら裕太の義姉になるってことかな?」 ティナは何処か期待した様な眼差しで裕太を見ている。 「あ…えーと…お姉ちゃんって言った方がいい感じ?」 ティナの顔がパァッと明るくなった。どうやらティナは姉と言われたかったようだった。 「うん!お願い!それじゃあ、裕太の世界の事も教えて!」 「うん、いいよ。んー、そうだな…まず、僕達の世界には魔法はない。代わりに科学がかなり発達している。例えば、どんな人間でも空を飛べるくらいに。他には……」 裕太は自分達の世界について色々と話した。ティナは全てが信じられないと言ったような反応をしてかなりオーバーなリアクションをとっていた。 「すごいね!裕太の世界、行ってみたいなぁ。魔法がないってのが未だに信じられないけど。」 と言って、ティナは外を見た。さっきまでは青空が澄み渡っていたが、気付いたらすでに真っ暗だった。 「うわ、もうこんな時間??裕太の属性調べられないね。他にも、この世界についても教えられないなぁ。明日そういうの全部やっていい?」 裕太は属性と聞いて心を躍らせた。裕太だって男の子で、魔法などのファンタジーには憧れている。現実を認めて諦めていたが、かめ○め波の練習だってしていたくらいだ。 「オーケー。それじゃあもうご飯食べて寝ようよ。」 この後ティナの料理を食べたが、形容できない不味さに襲われて裕太はそのまま寝てしまった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加