第1章 日常から非日常へ

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朝の眩しい光にうたれ、裕太は目を覚ました。ここで、起きたら夢だったという夢オチを願っていたが、やはりそんな事はなかった。 日課である早朝ランニングをしようとするも、周辺に何があるかもわからない裕太は出来るはずもなかった。 仕方ないので、朝ご飯でも作るかとキッチンへ向かった。この世界の料理もだいたい同じようなものがあるが、名前が違ったり、全く知らない料理もあった。 「んー、無難にパンと目玉焼きとウィンナーとかでいいかな?あればだけど。」 時計をみるとまだ4時だった。裕太は受験勉強のおかげで、自然とこの時間に起きれるようになっていた。 「時間もあるし、なんか手の凝ったもの作りたいな。これから僕に料理を作らせるようにして、お姉ちゃんに料理をさせないように。」 裕太はあの時、2度とティナの料理を食べないと決意したので、どうしても自分でやらなくてはならなくなった。 「どうしよっか…って、冷蔵庫?なのかな、中身何もないじゃん。」 冷蔵庫っぽい箱のようなものがあったので中を見ると、調味料と思われるものとその他野菜が幾つかしかなかった。 「…八百屋とかあるのかな…あっ、そういえば、お姉ちゃんに引っ張られてた時、それっぽい店あったな。」 裕太は記憶力がいい方で、場所なども意外と覚えていた。しかし、お金がなかった。 「何もできない…ハァ…」 詰んだなと思い、キッチンから戻ろうとした時、ふとひらめいた。 「そうだ!パンを1から作ればいいじゃん!小麦粉は…あった!これなら何とかなるな。」 そうと決めたらと、裕太は急いで作業に取り掛かった。 何回かしか1からは作ったことなかったが、作り方自体は覚えてたのでなんとかなった。 発酵させている間、部屋にあった本を読んでいた。 (なんでだ?なんで読めるんだろう…これは日本語じゃないのに…そういえば、ティナとも普通に話していたし…翻訳とか自動でされているのか?) そう考えている間に30分だったようで、ガス抜き、分割、ベンチタイムまで作業をし、また本を読んでいた。 書物の名前は魔法基礎という物だ。魔法の概念や、魔力などについて書かれていた。 そして20分だったので、再び発酵、読書、と続けていた。 発酵が終わり、オーブンに入れたところでティナが起きてきた。
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