1.会話

2/2

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「やぁ、君、久しぶり。どこへ行くんだい?」 「どこって彼処だよ。僕達が長年生きてきたあの場所に、もう一度戻るのさ」 「あっはっは」 「なんだ、いきなり失礼な。何がそんなに可笑しいのだ」 「だって、あの場所を一番毛嫌いしてた君が戻りたいなんて。一体なんの冗談だい?」 「冗談か......それで済んだら僕だって大万歳なんだけどな」 「なるほど。何か大切な用事ってものがあるのかな、何にせよ気をつけて」 「そして、君。何故ここにいるんだ」 「奇遇だな。僕も彼処へ行こうと思って」 「君にも何か用事が?」 「いや、花を見に行くのさ」 「ほう、花。それはどんな立派な花なのかな」 「なんでも、笑顔にさせる花だと」 「へぇ、笑顔」 「ああ、笑っちまうだろ?」 「へへっへへっ......」 「「あっはっはっはっはっはっ!うえっ...うえっへっへっへっ!!」」 「なぁ、君。僕は今笑えてたかい?」 「さあな、僕こそちゃんと笑えてたかな?」 「わからないな。」 「わかりたくもないけど。」 「正解」 「じゃあ、行こうか」 「そうだな、次こそはちゃんと帰れるといいな」 「道標を置いておこう」 「意味無いよ」 「そうかもな」 「では、ご無事で」 「そちらこそ、お元気で」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加