0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「やぁ、君、久しぶり。どこへ行くんだい?」
「どこって彼処だよ。僕達が長年生きてきたあの場所に、もう一度戻るのさ」
「あっはっは」
「なんだ、いきなり失礼な。何がそんなに可笑しいのだ」
「だって、あの場所を一番毛嫌いしてた君が戻りたいなんて。一体なんの冗談だい?」
「冗談か......それで済んだら僕だって大万歳なんだけどな」
「なるほど。何か大切な用事ってものがあるのかな、何にせよ気をつけて」
「そして、君。何故ここにいるんだ」
「奇遇だな。僕も彼処へ行こうと思って」
「君にも何か用事が?」
「いや、花を見に行くのさ」
「ほう、花。それはどんな立派な花なのかな」
「なんでも、笑顔にさせる花だと」
「へぇ、笑顔」
「ああ、笑っちまうだろ?」
「へへっへへっ......」
「「あっはっはっはっはっはっ!うえっ...うえっへっへっへっ!!」」
「なぁ、君。僕は今笑えてたかい?」
「さあな、僕こそちゃんと笑えてたかな?」
「わからないな。」
「わかりたくもないけど。」
「正解」
「じゃあ、行こうか」
「そうだな、次こそはちゃんと帰れるといいな」
「道標を置いておこう」
「意味無いよ」
「そうかもな」
「では、ご無事で」
「そちらこそ、お元気で」
最初のコメントを投稿しよう!