第61球ー最悪ー

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所は神奈川ー… パシーーン… ブルペンに響く、快音。 「イイね時雄、もうコンスタント130km/h前半は出せるようになって来たな!」 ミットに手を痺れさせるのは、茜高校の4番打者である捕手の高宮 翔だ。 「時雄のお父さん、まだ特訓してくれないの?」 「9月まで予定詰まってるらしいからよ、8月いっぱいは待てってさ。」 「ふーん、」 芹沢はつまらなそうに頬杖を突く。 パシッ。 返球を受け取った少年、宮藤 時雄。茜高校のエースナンバーを背負うサウスポーだ。 「でもなぁ、140km/hオーバーの球ってなると中々出ねぇよな。何で柏東ん時は出たんだろ、」 「普段は120後半か130前半…良くて130後半だもんね。まぁそこは秋と冬の下半身強化で自然と上がって来るよ、アンタは今は地上げの時期。」 「へいへい。」 時雄は、素直には頷かない。 翔が口を開く。 「てかイイよなぁ~。9月からプロ野球選手のリアルな技術伝授して貰えんだろ?俺も頼むよ~。」 「ヤダね、俺だけ特別なの。」 (うわぁ、性根悪。) 芹沢と翔の苦笑いは止まらなかった。
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