第9話本居の賭け

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「なるさ必ず長官に どんな事をしても 見ててくれ」 それから数年 警察庁官房長公室 次原から辞令を渡される首藤 「おめでとう首藤課長、遂に警視監だ 本当は本庁の審議官になって欲しいんだが、他の連中がうるさくてね、もう一回地方に行ってくれないか」 「どこへですか」 「任警視監(着任と同時に階級が上がる事)で北海道警本部長だ、警視監でも上位の者のポストだ 異例の抜擢だよ、普通は退官前のポストなんだ」 「そう言うわけですか」 「察しがいいな まあ余生を故郷で過ごせるなんて羨ましい限りだ 今まで御苦労だった これからはゆっくり羽を休めてくれたまえ」 首藤は拳を固めたまま身体を震わせて無言で部屋を出て行った。 「ふふふ、北海道警に私を飛ばしたのは次原の警告だ 次原は俺の目の黒いうちはお前は主流にはさせないと遠回しに行っている 次原が上にいる限り俺はどんなに頑張っても中央では花形ポストは貰えない」 本居が言った 「次原は恐れてるんです あなたが警備局長になれば次原の警備局長時代の不正を暴くに違いないと不安何ですよ 大人しく従っていれば飼い殺しにされます 次原と戦うべきです」 「私はこのままで終わるわけには行かない 妻との約束なんだ」 「と言う事は」 「君と組もう、このUBSメモリーの代わりに君が欲しいのは何だ」 「二十年前、この北海道でパトリックと言う司祭が事件を起こしました しかしそれは警察庁の何者かによりもみ消されたようです」 「次原官房長か」 「わかりません 当時次原は公安企画室室長、この公安企画室と言うのは一時期にしか存在しなかったんですが何をやってるか全くわからなかった」 「つまり隠蔽もみ消し専門の部署の可能性があるのか」 「当時オーム事件が華やかなりし時期でした、緊急避難的に違法とまで行かなくても、不適切、または違法ギリギリの事も行われた可能性は否定出来ません 令状を取らないで身柄を確保したとかガサ状なしで家捜ししたとか」 「恐らくそれ以上もあるだろう あの事件自体国家の緊急避難だから違法性はそきゃく(文言上は法律に触れるが特別な場合に法が許す場合、違法性をそきゃくすると言う、正当防衛や緊急避難が代表的な物である)されるだろうがメディアが騒ぐと左翼系にやり玉に上げられる だから臨時に隠蔽もみ消し組織が出来てもおかしくない
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